交通事故による慰謝料の計算方法を解説 納得できる金額にするには

更新日: 2021.03.16

交通事故に遭ってしまった際、相手側から支払われる示談金には複数の項目が含まれています。そのうちの1つが慰謝料です。示談金と慰謝料は混合されてしまいがちですが、慰謝料はあくまで事故による精神的・肉体的苦痛に対して支払われるもので、加害者側が支払うべき全ての賠償金である示談金の一部です。
ここでは、交通事故の慰謝料とは何か、慰謝料以外に請求できる賠償金、慰謝料計算を弁護士に相談するメリット等についてご紹介します。

交通事故の慰謝料について

同じような交通事故に遭った被害者でも、精神的・肉体的苦痛の程度は個人によって異なります。しかしこの苦痛は、第三者の客観的な視点から正確に判断することは非常に困難です。そのため、交通事故の慰謝料には一定の基準が設けられ、ある程度の定額化が図られています。

慰謝料の種類には大きく3つ、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料があります。この種類について詳しくは後述しますが、それぞれの金額の算出方法には自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの基準があります。弁護士に依頼するケースとしては、保険会社基準で算出された慰謝料の額に納得できず、裁判基準で算出した慰謝料で示談を成立させたい場合等です。

各基準について詳しく説明します。

自賠責保険基準

自賠責保険会社が設定する基準です。被害者への補償は最低限を目的としているため、3つの中では算出額が最も低いとされています。

任意保険基準

相手側が加入している任意保険会社が設定する基準です。保険会社によって算出方法が異なるため計算式は公開されていませんが、算出額は自賠責基準以上、裁判基準以下と考えられます。

裁判基準

3つの基準の中で最も高額になるのが、裁判基準です。裁判基準とは、交通事故で加害者側に対し裁判を起こした場合、どのような請求ができるのかという基準です。同じような交通事故が過去の判決でどの程度慰謝料の支払いが認められているか、といった判例を基に相手保険会社へ主張します。弁護士が主張する基準の為、弁護士基準とも呼ばれます。

入通院慰謝料

入通院慰謝料は傷害慰謝料ともいわれ、交通事故被害者の傷害に対して支払われる慰謝料です。具体的な金額は被害者の精神的・肉体的苦痛の程度によって決まります。受傷の部位や程度によって増額されることもありますが、被害者個別の事情を算定することの困難性から、入通院期間を基に算出されます。このことから、入通院慰謝料と呼ぶのが一般的です。

各基準での算出額を詳しく説明します。なお、任意保険基準に関しては計算式が公表されていないため説明を省略していますが、自賠責基準を基にした慰謝料額を提案されることが多いです。

自賠責保険基準

自賠責保険基準の入通院慰謝料の計算方法は、以下の計算式によって求めます。

もっとも、自賠責保険には傷害の場合、治療費や休業損害等、他の支払いを含めて総額120万円という上限があります。したがって、治療費等が120万円に近づくほど、慰謝料として支払われる額は少なくなります。

1日あたり4300円(※1×通院日数×2(※2

※1 2020年3月31日以前発生事故の場合は4200円

※2 通院日数×2が総期間に対応する日数を超える場合は総期間にて計算

通院日数の算出方法を、例を用いて説明します。

例)A 実通院日数10日、総期間30日の場合:10×2=20 →20日で計算

 B 実通院日数18日、総期間30日の場合:18×2=36 →30日で計算

実通院日数とは、総期間に対して実際に何日通院したか、という日数です。上記例だと、治療にかかった総期間は1ヵ月であるものの、毎日通院したわけではなく、実際の通院日数はAの場合で10日間、Bの場合で18日間です。

Aの場合、実通院日数の10日を2倍した20日が計算式上の通院日数として採用されます。Bの場合は、2倍すると総期間である30日より日数が多くなるため、この場合は総期間である30日が採用されます。実通院日数を2倍した日数と、総期間とを比較して少ない日数が採用される、と考えると分かりやすいです。

前述の通り、自賠責保険では被害者に支払われる総額は120万円までと上限が設定されています。治癒までに時間がかかると、それだけ治療費・通院交通費等の費用が発生することは容易に想像ができます。しかしそれらの費用分を差し引いて、残った金額から慰謝料を請求すると限度額を超える可能性が生じます。限度額を超えた部分は、自賠責保険からは回収ができません。長期間の通院は精神的な苦痛も長引いているにも関わらず、その苦痛に見合った慰謝料を請求することができないのです。

裁判基準

裁判基準の入通院慰謝料は、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が編集・発行している『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』という書籍に記載されている以下の『別表Ⅰ・Ⅱ』を基に算出します。この書籍は様々な賠償金の算出に用いられています。

入院1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月13月14月15月
通院B \ A53101145184217244266284297306314321328334340
1月2877122162199228252274291303311318325332336342
2月5298139177210236260281297308315322329334338334
3月73115154188218244267287302312319326331336340346
4月90130165196226251273292306316323328333338342348
5月105141173204233257278296310320325330335340344350
6月116149181211239262282300314322327332337342346
7月124157188217244266286304316324329334339344
8月132164194222248270290306318326331336341
9月139170199226252274292308320328333338
10月145175203230256276294310322330335
11月150179207234258278296312324332
12月154183211236260280298314326
13月158187213238262282300316
14月162189215240264284302
15月164191217242266286
(別表Ⅰ)
入院1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月13月14月15月
通院B’ \ A’356692116135152165176186195204211218223228
1月195283106128145160171182190199206212219224229
2月366997118138153166177186194201207213220225230
3月5383109128146159172181190196202208214221226231
4月6795119136152165176185192197203209215222227232
5月79105127142158169180187193198204210216223228233
6月89113133148162173182188194199205211217224229
7月97119139152166175183189195200206212218225
8月103125143156168176184190196201207213219
9月109129147158169177185191197202208214
10月113133149159170178186192198203209
11月117135150160171179187193199204
12月119136151161172180188194200
13月120137152162173181189195
14月121138153163174182190
15月122139154164175183
(別表Ⅱ)

原則は別表Ⅰを使いますが、むちうちで他覚所見が無い等の場合は別表Ⅱを用います。

入院の場合は横軸、通院の場合は縦軸で、それぞれの月数に対応する枠内に書かれた数字(万円単位)に基づいて算出します。別表Ⅰのケースで、1か月通院した場合の入通院慰謝料は、28万円です。

しかし、実際の入通院日数はちょうど一月単位で終わるものとは限りません。例えば別表Ⅰのケースで50日通院した場合は、まず一月分の慰謝料である28万円が計上されます。残りの20日間に関しては、一月通院した場合と、二月通院した場合の差額を日割りすることになります。二月通院した場合の慰謝料は52万円なので、差額は24万円です。これを30日で割ると一日当たり8000円になるため、残りの20日間の慰謝料は16万円です。50日間通院した場合の慰謝料は、合計で44万円を請求していくことになります。

例として挙げたのは比較的計算のしやすい通院日数ですが、実際には入通院どちらもした場合や表の月数を超える期間入通院した場合なども考えられます。また、自賠責保険基準同様に総通院期間に対して実通院日数が明らかに少ない場合は、裁判基準でも実通院日数を基に慰謝料を算出することになります。そういった場合、計算はより複雑になります。事故態様によっては過失割合が影響することもあり、専門的な知識が無ければ正しく算出できないことがほとんどです。ご自身の裁判基準の入通院慰謝料を把握したいという方は弁護士にご相談ください。

後述しますが、通院日数は慰謝料を納得できるものにするための大事なポイントの一つです。症状がありながら通院することはなかなかハードルの高いものですし、お仕事やご家庭の都合で通院しづらい場合もあります。しかしそんな中通院したということは、受傷によって被った精神的苦痛の客観的な記録になります。

むちうちなどの場合、ご自身の判断で通院を終えられてしまう方もいますが、後々痛みやシビレが発現する可能性もあります。そうなった際、通院期間を一か月以上空けて再通院しても事故との関連性が薄れ、もし障害が残ってしまってもそれが後遺障害とは認められない可能性が高くなってしまいます。

まずは主治医の指示に従って通院を継続することがおすすめです。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、交通事故被害者の後遺障害に対して支払われる慰謝料です。「後遺障害」とは、交通事故による受傷で治療の末に残ってしまった症状のうち、将来においても回復が難しく、労働能力の喪失・低下を伴うもので、自賠法施行令(自動車損害賠償保障法施行令)に定められている障害のことをいいます。

具体的には、以下の要件を満たしているものをいいます。

【後遺障害とは】
①将来においても回復が見込めない状態となり(症状固定)、
②交通事故とその障害との間に因果関係があり(相当因果関係)、
③その障害が医学的に認められるものであり、
④労働能力の喪失(低下)を伴うもので、
⑤その程度が自賠法施行令の等級に該当するもの

後遺障害の認定は、事故状況や主治医作成の診断書等の資料を第三者機関である調査事務所へ提出した後、総合的に判断されます。等級は、第1級を最も重い後遺障害が残っているものとして、第14級まであります。

ご自身の症状から後遺障害申請をするか悩まれる場合は、弁護士へご相談ください。第三者機関による認定のため確実にこの等級が認められる、とは断定することはできませんが、過去の事例と比較して申請をする・しないといったアドバイスが可能です。

実際に支払われる慰謝料は認定された等級に応じて異なります。入通院慰謝料と同様に保険会社基準と裁判基準があります。各基準での算出額を詳しく説明します。

なお、任意保険基準に関しては計算式が公表されていないため説明を省略していますが、自賠責基準を基に提案されることが多いです。

自賠責保険基準

自賠責保険基準で支払われる後遺障害慰謝料は、以下の通りです。

第1級第2級第3級第4級第5級第6級第7級
1150万998万861万737万618万512万419万
第8級第9級第10級第11級第12級第13級第14級
331万249万190万136万94万57万32万

最も重いとされる第1級の症状には、例えば両目の失明などがありますが、自賠責保険基準では1150万円が支払われることになります。果たして苦痛に見合った金額と言えるでしょうか。

裁判基準

裁判基準で支払われる後遺障害慰謝料は、以下の通りです。

第1級第2級第3級第4級第5級第6級第7級
2800万2370万1990万1670万1400万1180万1000万
第8級第9級第10級第11級第12級第13級第14級
830万690万550万420万290万180万110万

最も等級の低い14級でも、自賠責保険基準と裁判基準では、金額は大きく異なります。

また、裁判基準の後遺障害慰謝料は、次のような事情がある場合は上記の表の金額以外にも慰謝料を請求できることがあります。

近親者の慰謝料

重度後遺障害の場合、近親者も慰謝料を請求できることがあります。後述する死亡慰謝料では被害者が亡くなった精神的苦痛に対して遺族に慰謝料が支払われますが、被害者が死亡の場合でなくても「死にも比肩するような精神的な苦痛」を受けたとされた場合には、近親者にも慰謝料請求権があるとされています。

具体的な金額は認定された等級や個人の症状の程度によって異なりますが、最も重い1級であれば認められる場合がほとんどです。2級以下の場合でも、常に介護が必要とされる場合等は、認められる傾向にあります。

逸失利益の算定が困難な場合

逸失利益の算定が困難な場合、後遺障害慰謝料に調整金を加算するという調整を図って示談をすることもあります。逸失利益とは、詳しくは後述しますが、後遺障害によってそれまでと同様の働き方が困難となった場合に、将来の減収分を補償するものです。労働能力の喪失・低下によって生じる損害に対する賠償であるため、歯牙障害や醜状障害の場合は、障害が就労に影響しないのではないかという理由から、加害者側が逸失利益について争ってくることが少なくありません。

裁判所は、このようなケースにおいて、逸失利益として認めないかわりに後遺障害慰謝料に調整金を加えるという形で解決を図っていることが多いです。

たとえば、専業主婦に対して、顔面醜状が家事能力の低下には影響しないが、逸失利益が認められないことを考慮して後遺障害慰謝料が増額された判例などがあります。

加害者に故意もしくは重過失または著しく不誠実な態度等がある場合

加害者側の重過失や不誠実な態度によって、慰謝料の増額が認められる場合があります。相手側の重過失とは、無免許・ひき逃げ・飲酒運転・信号無視等が挙げられます。こうした加害者の行為は被害者に対してさらに精神的な苦痛を与えるものとして、様々な判例で慰謝料の増額が認められています。

事故後何年にも亘り症状が残存することは肉体的な面だけでなく、精神的にも大きな負担になり得ます。症状が軽く、当時は「この程度であれば慰謝料をもらわなくても構わない」と思っても、後から「慰謝料を請求すればよかった」と思い直すことがあるかもしれません。入通院慰謝料でも説明しましたが、事故から期間が空いて後遺障害申請をしても、事故との関連性は薄いとされ、認定が下りる可能性は無いと言っていいでしょう。そうなると慰謝料の請求はできません。そういった後悔をしないためにも、症状が残存しないことが一番ではありますが、後遺障害申請を検討することは慰謝料請求において重要なポイントになります。

死亡慰謝料

死亡慰謝料とは、交通事故被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料です。被害者本人に対して支払われる慰謝料とは別に、被害者が亡くなった精神的苦痛に対して遺族に支払われる慰謝料の2つの要素があります。

ここでいう遺族とは、相続人の限りではありません。確かに本人に対する慰謝料の受け取りは相続人がすることになりますが、被害者が亡くなったことに対して精神的苦痛を負うのは相続人だけでは無いからです。例えば、被害者が未成年であった場合、相続人は親権者ですが、遺族には兄弟姉妹や祖父母等も含まれます。金額は被害者が子であった場合の父母と比べるとやや下がることが多いようですが、実際に兄弟姉妹・祖父母に対して慰謝料の支払いが認められた事例もあります。

遺族の中で慰謝料を請求できる人のことを請求者と呼び、遺族のどこまでを請求者とするかはそれぞれの基準によって異なります。

各基準の算出額を詳しく説明します。なお、任意保険基準に関しては計算式が公表されていないため説明を省略しています。

自賠責保険基準

自賠責保険基準での死亡慰謝料は、本人に対する慰謝料は一律400万円(※2020年3月31日以前発生の事故は350万円)となっています。

遺族に対する慰謝料は、

  1. 請求者が1名の場合は、本人への慰謝料に加えて550万円
  2. 請求者が2名の場合は、本人への慰謝料に加えて650万円
  3. 請求者が3名以上の場合は、本人への慰謝料に加えて750万円

と請求者の人数によって支払われる金額が異なります。

被害者に扶養家族がいた場合は、上記金額に200万円が加算されます。なお、自賠責保険基準での請求者は被害者の父母、配偶者、子供となっています。

例えば4人家族の父親が亡くなった場合、請求者は最大で被害者の父母、義父母、配偶者、子供2名の計7名です。本人慰謝料が400万、遺族慰謝料は請求者が3名以上のため750万、配偶者・子供が扶養家族の場合はさらに200万円が加算され、合計1350万円が支払われることになります。

ここだけ見ると算出額が低いとされる自賠責保険基準でも意外と支払われる、という印象を受けるかもしれません。しかし、自賠責保険基準では被害者の家庭内での役割は考慮されません。前述の4人家族を再度例に挙げると、この家族の場合、一家の経済的支柱が亡くなったことになります。しかし本人に対して支払われる死亡慰謝料は一律の400万円です。一家にとって父親を亡くすことは、精神的にはもちろん経済的にも大きな損失です。であるにも関わらず、その損失が考慮されないことは遺族にとって納得できるものではありません。

裁判基準

裁判基準では自賠責保険基準とは違い、被害者の家族構成や家庭内での役割によって算出額が異なります。前述の書籍『損害賠償額算定基準』に公表されている本人慰謝料の基準額は以下の通りです。

  1. 一家の支柱である場合は、2800万円
  2. 母親もしくは配偶者の場合は、2500万円
  3. その他(※)の場合は2000万~2500万円

※その他には独身の男女、子供、幼児等が含まれる。

もちろん具体的な考慮事由によっては必ずしも支払われるものではありませんが、本人に対する慰謝料だけでも、自賠責保険基準と比べて遥かに高額であることが分かります。

遺族に対する慰謝料は、被害者と遺族の関係性といった個人の事情によって主張する金額に変動があります。そのため一概にいくらとは言い切れませんが、おおよその相場は被害者の配偶者の場合で200万~400万円程度、それ以外の近親者(子・兄弟姉妹・祖父母等)の場合で100万~200万円程度です。この金額が認められれば、本人に対する慰謝料に加算して支払われることになります。

家族を亡くした喪失感は金額で補填できるものではありませんが、自賠責保険基準の算出額では、被害者本人や遺族の事情が反映されていないことは明らかです。より実状にそった慰謝料を請求したい場合は弁護士へご相談ください。

慰謝料を計算してみる

交通事故により頸椎捻挫の傷害を負い、通院期間が180日(実通院日数80日)、後遺障害第14級9号の認定を受けたとします。入通院慰謝料と後遺障害慰謝料を各基準で計算しましょう。

入通院慰謝料

自賠責基準

この場合、自賠責基準の通院日数は実通院日数を2倍にした160日が通院期間より少ないため160日が採用されます。一日に支払われる金額は4300円と定められているため、金額は

160日×4300円=68万8000円

となります。

しかし自賠責保険基準では、前述の通り、治療費・休業損害を含めて120万円という上限が定められています。治療内容にもよりますが、被害者の方は多くの場合自由診療で通院されており、その治療費は1か月あたり10万円程です。6か月通院している場合、120万円から治療費の60万円を差引いた残りの金額を上限とし、その中から慰謝料が支払われることになります。そのため、通院期間が長引く程、治療費が膨らみ、支払われる慰謝料は少なくなっていくことになります。

裁判基準

今回のケースでは障害は頚椎捻挫、いわゆるむちうちのため、別表Ⅱを用います。

通院期間は180日、つまり6か月に相当するため、裁判基準での算出慰謝料は89万円です。

後遺障害慰謝料

自賠責基準の場合は、前述の表によると32万円、裁判基準の場合は110万円です

それぞれの基準の慰謝料を合計すると、

自賠責基準の場合で100万8000円、裁判基準の場合で199万円です。

もちろん個別の考慮事由によって必ずしも支払いが認められるわけではありませんが、裁判基準で算出した慰謝料が倍近く高額であることが分かります。

交通事故で慰謝料以外に請求できる賠償金

交通事故被害者には、慰謝料の他に請求できる賠償金として休業損害や逸失利益が挙げられます。

休業損害

交通事故による怪我により仕事を休まなくてはならなくなった場合、当然、給与の減収が予想されます。その際、保険会社から受けることのできる補償を休業損害といいます。

休業損害にも保険会社基準と裁判基準があります。慰謝料と同様に、任意保険会社基準の計算式は公開されていませんが、自賠責保険基準では個人の職業・収入に関わらず一日6100円(※)とされています。

裁判基準では個人の職業・収入を考慮した金額を算出します。そのためには、勤務先に欠勤・有給・遅刻早退の実態や過去3か月分の給与などを証明する『休業損害証明書』を作成してもらうことが必要です。休業日数や給与など、個人の事情によるところが大きいため、具体的な金額を提示することはできませんが、保険会社基準以上になることがほとんどです。

※2020年3月31日以前発生の事故は1日5,700円

逸失利益

交通事故による後遺障害が認定された場合、事故前と同様の働き方ができなくなる等して、将来の減収が予想されます。そういった将来もらうはずであった利益・収益を逸失利益と呼び、保険会社へ請求することができます。事故による後遺障害が今後の収入に影響することを証明する必要があるため、後遺障害認定を受けることが必須条件です。

逸失利益にも自賠責保険基準と裁判基準があり、例えば後遺障害で14級を認定された場合、自賠責保険基準では最大43万円が支払われます。

裁判基準では以下の式により算出されます。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

各項目について説明します。

基礎収入額

給与所得者の場合、事故前年の年収を用います。

労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害が労働能力へ及ぼす影響を割合で表したものです。自賠法施行令によって、後遺障害等級ごとに定められた割合があります。

後遺障害等級14級の場合、労働能力喪失率は5%です。事故前と比較して5%労働能力の低下が見込まれるという意味になります。

労働能力喪失期間

労働能力喪失期間とは、後遺障害によって労働能力が失われることになった年数のことです。原則67歳を定年として、喪失期間を何年とするかは認定された障害の内容によって異なります。後遺障害等級14級は5年で算定することになります。

ライプニッツ係数

交通事故で加害者側から賠償を受ける場合、被害者は生涯かけて稼いだはずの金額を一括で受け取ることになります。ライプニッツ係数とは、一括で受け取ったことによって生じる利益を控除し、実態に即した賠償額に近づけるための指数です。「中間利息控除」ともいいます。

逸失利益の計算は法律によって定められている部分もあり、専門的な知識を要します。ご自身の逸失利益が気になった際は、弁護士へご相談ください。

慰謝料を納得できる金額にするには

保険会社提示の慰謝料が想定より低かった場合、いくつか理由が考えられます。

ひとつは、通院の回数です。

前述の通り、入通院慰謝料は通院日数を基に算出されます。これは、怪我を負った被害者の精神的な苦痛を客観的な尺度で測るためです。通院日数が少ないと、相手保険会社は「もう通院の必要が無いほど怪我が回復している」=「精神的な苦痛は少ない」と判断して、慰謝料を減額する可能性があります。例えばこれが痛みを感じていたが多忙なために通院が叶わなかった場合でも、残念ながら同じ症状で通院を継続していた場合と比べて慰謝料は減額されてしまいます。

交通事故後の症状が良くなってきたなと感じても、主治医から治癒を言い渡されるまでは毎月通院を継続することがおすすめです。例に挙げたように多忙で仕事を休まなければ通院できない、といった場合は休業損害として相手保険会社に休業した分の補償を請求することもできます。

とはいえ、通院を継続すると治療費がかかります。相手保険会社が一括対応中であれば保険会社から病院へ直接支払いが行われますが、希望の限り支払ってくれるとは限りません。一括対応期間はその会社や被害者の怪我の程度によって異なりますが、例えばむちうちの場合、3か月から6か月で治療費の対応打ち切りを言い渡されるケースが多いようです。まだ痛みが残っていたが打ち切りと言われたため通院を断念した、という場合でも、やはり継続して通院していた場合と比べて入通院慰謝料は減額されてしまいます。

保険会社の一括対応は法的に強制することはできないため、対応の延長をお願いしても断られる場合があります。しかし、痛みが残っているにも関わらず打ち切りを言い渡されたからと言って、直ちに通院を辞めなければならないわけではありません。一時的に健康保険を利用して通い、自賠責保険の賠償金が120万円を満たしていない場合、先に治療費を回収できるケースもあります。

次に考えられるのは後遺障害認定の有無や、認定はされたものの等級が低かった場合です。

後遺障害慰謝料で説明の通り、後遺障害認定がされた時点で貰える慰謝料は増額されます。裁判基準では、最も等級の低い14級でも110万円が支払われます。また、認定によって支払われるのは慰謝料だけでなく、逸失利益もあります。

後遺障害の認定を受けるにあたって、「将来においても回復が見込めない状態」となっていることが条件として挙げられます。これは、治療を継続しても大幅な改善が見込めない、治療や投薬を行うと一時的に良くなるが、少し経つとまた元に戻ってしまうというように、症状が一進一退を繰り返す状態を指します。この状態のことを「症状固定」といいます。

主治医や保険会社から「症状固定」「一括対応打切り」という言葉がでてきた際は、もちろん実際に症状が残っている場合ですが、後遺障害申請を検討すべき時だと考えてよいでしょう。

後遺障害の認定は保険会社ではなく、第三者である調査事務所が提出された資料から客観的に判断します。認定された等級が低く、見合っていないと考えた場合は異議申立をして再度調査を依頼することも可能です。

相手保険会社から対応打ち切りを言い渡されてお困りの場合や、後遺障害申請をするか悩んでいる場合など、まずは弁護士へご相談ください。

慰謝料計算を弁護士に相談するメリット

交通事故による怪我の治療が続いている・精神的なショックが大きい等の場合、そうしたストレスを抱えたまま相手保険会社との示談交渉を行うことは、さらなるストレスになり得ます。また、相手から提示されている金額が自分に見合う金額なのかを個人で調べるには限界があり、判断が難しい場合も多いです。通院や仕事と並行して相手保険会社とのやり取りをするのが煩わしく、提示された金額のまま示談交渉成立させてしまうと、本来もらえるはずだった慰謝料を後から請求することは困難です。

弁護士は相手保険会社に裁判基準を用いて慰謝料を請求します。保険会社基準で算出された慰謝料は前述のとおり、個人の事情を考慮しない一律なものである場合が多いです。その点、裁判基準では被害者の実状を考慮した金額を算出することができます。金額は、3つの慰謝料の種類すべてにおいて、保険会社基準より高額になります。また、弁護士自身の経験や判例との比較検討も可能なため、より根拠に基づいた主張をしていくことができます。

慰謝料を被害者の実状に沿ったものにできることの他に、相手保険会社との手続きを一任できることもメリットの一つです。相手保険会社とは、書類の送付や電話での聴取等が長期間続くこともあります。そういったやりとりが煩わしくなると、提示された金額を冷静に判断することは難しくなります。また、ご自身の通院もまだある・仕事が再開しているといった場合に、弁護士に依頼することで日常生活や治療に専念することができます。

まとめ

交通事故の慰謝料についてご理解いただけたでしょうか。

それぞれの慰謝料に異なる算出方法があり、計算もかなり複雑になる場合が多いです。

死亡慰謝料でも触れましたが、交通事故によって失われたものは必ずしもお金で補填できるものではありません。しかし相手保険会社の算出した慰謝料では、被害者にとって納得できるものになることは少ないと言えます。

ご自身やご家族の実状に沿った慰謝料を請求したい場合は、弁護士へご相談ください。

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