弁護士特約とは 利用すべき理由や注意点を解説

更新日: 2021.03.23

交通事故に遭って相手側の賠償金額に納得がいかない、手続きに不安がある等の場合、弁護士へ相談することを検討される方も多いかと思います。その際、一番の懸念は「弁護士費用はいくらかかるのだろう」「賠償金額が上がっても、弁護士費用が高額になれば結局損をするのではないか」といった点です。弁護士特約は、そうした懸念を取り除くものです。
ここでは、弁護士特約とは、弁護士に依頼した時に掛かる費用、弁護士に依頼した際のメリットなどをご紹介します。

弁護士特約とは

自動車保険の特約には様々なものがあり、その中でも弁護士特約とは、弁護士へ示談交渉等を依頼した際の弁護士費用を保険会社が負担してくれる特約です。

各保険会社で特約内容の詳細は異なりますが、弁護士特約を利用した場合、弁護士費用を気にせず依頼でき、かつ相手側から支払われる賠償金から弁護士費用を差し引かず、満額を受け取ることができます。

また、弁護士特約に加入していても、使用することで等級が下がってしまうことを懸念して、利用を躊躇してしまう方も少なくありません。しかし弁護士特約は、利用しても次年度の等級が下がることはありません。そのため安心して利用することができます。

交通事故に遭われて弁護士へ依頼を検討している場合、ご自身が弁護士特約に加入しているのであれば、弁護士費用の面での懸念は払拭されることになります。

弁護士に依頼した時にかかる費用

では実際に弁護士へ依頼した場合、どのような費用がかかるのでしょうか。

かかる費用として挙げられるものには相談料、着手金、報酬金、実費等があります。大きくわけて相談料はご依頼いただく前に必要となる費用で、着手金、報酬金、実費等はご依頼いただいた後に必要となる費用になります。

相談料

相談料とは、弁護士にご相談いただくときに必要となる費用です。

ご相談時、弁護士は事案の概要をもとに、法的な説明や見通し、ご依頼いただいた場合の進め方などをお話しします。ご相談者が相談時にお話しした進め方にご納得いただけた場合はご依頼いただくことになります。

ご依頼時は、弁護士とご依頼者との間で契約書を取り交わします。契約書にはご依頼にあたっての弁護士費用が記載されています。

そして、弁護士費用特約を利用する場合、弁護士に依頼する際の費用体系は大きくわけて2つあります。ひとつは着手報酬金制、もうひとつは時間報酬金制です。

着手報酬金制

着手報酬金制は、着手金と報酬金の2つで構成されます。

着手金とは、弁護士が依頼を受け、案件に着手するにあたって発生する費用です。

報酬金とは、弁護士がその事案を解決した際に発生する費用です。解決内容によってご依頼者が得られた利益(経済的利益)に基づいて算出されます。

時間報酬金制

時間報酬金制は「タイムチャージ」とも言います。一時間あたりいくらときまっていて、弁護士が行った執務時間に応じて費用が決まります。

どちらの制度を利用するにしても、弁護士特約を使用するのであれば弁護士費用は保険会社が負担することになります。

実費

実費とは、案件を進めるにあたってかかる費用です。交通事故の場合は、カルテやXP・MRI画像の取得、裁判所に納める印紙代・切手代・移動に要する交通費・戸籍謄本取寄せ費用等があります。

弁護士特約の補償対象

弁護士特約は保険会社の商品です。そのため、自動車事故以外に日常生活での事故すべてを補償対象とするものもあり、各保険会社によって内容は様々です。

自動車保険の場合、弁護士費用が300万円まで、法律相談料は10万円を上限と定めている内容が多いです。その上限を超えた部分の費用に関しては、ご自身が負担をすることになります。では、実際の弁護士費用がこの上限を超えてしまうことはあるのでしょうか。

結論からお伝えすると、弁護士費用が300万円以上かかるケースは非常に希です。もちろん受傷の程度、事故様態によっては発生することも考えられますが、例えば後遺障害で一桁の等級の認定を受けるような重度の後遺障害を負ってしまった場合や死亡事故の場合など、極めて被害の大きい交通事故になります。そのような場合でもない限り、弁護士費用が特約の上限を超えてしまうことはまずありません。

その他、弁護士費用が増額する理由として、病院への医療照会や第三者機関への鑑定依頼で実費等の費用が増えることがあります。それ以外の着手金と報酬金については、着手報酬制の場合は賠償金の金額に応じて、タイムチャージの場合は、執務時間に応じて変動します。

弁護士特約では着手金と報酬金の算定にあたって、多くの保険会社でLAC基準という基準が採用されています。

LACとは、リーガルアクセスセンター(Legal Access Center)の頭文字をとったものです。前述もしましたが、弁護士へ依頼する際の費用は被害者にとって不安要素の一つです。そのために弁護士への依頼を躊躇されることも考えられます。日弁連では、そうした不安を払拭するため2000年から弁護士費用が保険金として支払われる弁護士費用保険という制度が発足されています。この制度の普及と適切な運用を目的に設立されたのが「日弁連リーガル・アクセス・センター」です。

その上でLAC基準とは、日弁連と保険会社とで協議の上設定した弁護士費用に対する基準です。

このLAC基準は多くの保険会社で採用されています。具体的な企業名については、日弁連のホームページをご参照ください。

https://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/lac.html

また、弁護士費用特約は、被保険者だけでなくそのご家族・同居の親族・事故当時契約車両に搭乗していた方等も使用できることがあります。例えばお子様が事故に遭われてご本人は保険加入していない場合でも、ご両親の弁護士特約が使用できることがあります。

また所有する車両が複数あっても、重複して加入することなく1つの弁護士特約で複数の車両に対して使用することができます。

あくまで多い例のご紹介ではありますので、利用にあたっての不明点の詳細については各保険会社へお問い合わせください。

弁護士特約を使うべき理由

弁護士特約を使うべき最大の理由は、弁護士への依頼が費用面を気にせず行えることです。また、前述の通り、弁護士費用の負担を考えずに、相手から受け取る賠償額全て受け取ることができます。弁護士特約では費用の上限が定められているため、全ての事故で必ずしも自費の弁護士費用負担が無い、とまでは言い切れませんが、その場合でも弁護士費用の大部分を保険会社に負担してもらえることには違いはありません。

では、弁護士特約を使用して弁護士に依頼することは、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下でご紹介いたします。

慰謝料が増える可能性がある

相手保険会社が慰謝料を算出して提示してくる際、その金額は最低限の補償を目的とした金額であることが多いです。そのため、被害者やその家族の固有の事情は考慮されません。一方、弁護士が算出する金額は、法律や過去の裁判例に基づき「実際に加害者側に対し裁判を起こした場合、どのような請求ができるのか」という基準で相手保険会社へ請求します。やみくもな増額を求めるのではなく、法律や裁判例に則り、被害者の実状に合った適切な補償金額を請求していきます。

例えば後遺障害の認定が下りた場合に請求する後遺障害慰謝料では、等級の最も低い第14級で自賠責保険基準の算出額が32万円であるのに対し、弁護士の基準では110万円を相手に請求します。実際に支払われるかは個人の症状にもよりますが、これだけでも約80万円増額する可能性があります。

入通院慰謝料・死亡慰謝料といったその他の慰謝料も同様に、弁護士の算出する額は相手保険会社の算出額を上回る場合が多く、増額の可能性があります。

面倒な手続きを任せることができる

交通事故後の相手保険会社とのやり取りは電話での事情聴取から書類の送付など、多岐に渡ります。相手から提出を依頼される書類は専門性が高い場合も多く、交通事故が頻繁に起こることではない以上、被害者の方個人がそうした対応に慣れている、ということは考えにくいでしょう。

また、大きな怪我を負った場合や事故後すぐに復職された場合は、通院や勤務と並行して相手保険会社を対応することになります。まだお身体も痛む中、そうした対応をご自身ですることは大きな負担や精神的ストレスになります。相手保険会社とのやりやり取りの手間を負担、面倒に感じ、低い金額の賠償金で示談を成立させてしまった、というケースも少なくありません。

弁護士へ依頼するとそういった負担がかかってしまう面倒な手続きを一任することができます。また、過去の経験から送付書類に不備が無いか・相手保険会社提示の金額が適正かどうか等、被害者の方に損が無いよう手続きをすすめることができます。

ケースに合った正しい方法で解決してくれる

弁護士が保険会社に請求する賠償金額は、法律や過去の裁判例を参考に行われます。しかし、ただ法律や裁判例を調べるのであれば、専門の書籍等でも可能ですが、交通事故案件を多く経験した弁護士であれば、自身の経験からどのようなパターンで賠償金額を増額させられるのか・そのために必要な手続きは何か等を適切に判断できます。

交通事故の様態には様々なものがあります。過去の判例のうち、ご自身の事故様態と完全に一致するものがあるとは考えにくいですが、そのような場合は何より弁護士の経験が生かされます。そもそも依頼をした方がいいのか分からない、といった方でもお気軽にご相談いただければ弁護士で見通しを説明することができます。依頼をするか分からない、といった場合でもまずは弁護士へご相談ください。

弁護士特約が多く使われるケース

弁護士特約が使用されることの多いケースの1つとして、いわゆるもらい事故が挙げられます。

もらい事故とは、加害者側にのみ過失があり、被害者側には一切過失の無い交通事故を指します。具体的には、「信号待ちで停車中に追突された」「駐車場に停車中、他の車にぶつけられた」などがあたります。

交通事故の多くで争点となるのは、加害者と被害者のどちらの過失が大きいのかという過失割合です。もらい事故の場合は、この過失割合が争点となることはありません。そうであるにも関わらず弁護士への依頼が多いのは、被害者側に過失がゼロの場合には保険会社が示談交渉を行うことが出来ず、被害者自身で行う必要があるからです。

被害者側にも過失が生じている場合は、保険会社が加害者側との示談交渉を行うこともできます。しかし、過失ゼロのもらい事故の場合、保険会社が示談交渉することが弁護士法に抵触するため、保険会社が示談交渉を行うことができないのです。

保険会社は、交通事故に関する専門的な知識があり、多数の他事例との比較検討が容易な保険会社との交渉は、不公平感がある上、多くの不安がつきまといます。弁護士特約があれば、そういった不安を費用面の懸念無しに解消することできます。

弁護士特約の利用の流れ

最初のご相談時に弁護士から弁護士特約ご加入の有無を確認させていただくようにしています。ご依頼者が保険に弁護士特約を付けていることを見落としてしまっていると不利益が大きいためです。ご相談前にあらかじめご自身が加入されている保険に弁護士特約が付いているかどうか、ご家族の保険についている弁護士保険の使用ができないか、ご確認いただくとその後の対応をスムーズに行うことができます。以下、弁護士特約利用の詳しい流れについてご説明します。

弁護士特約が付いているか確認

弁護士特約が付いているかを確認するには、保険の証書を見直すなどもありますが、一番早い方法は保険会社へ直接問い合わせることです。その際、依頼する予定の弁護士を伝えることができます。もし弁護士が決まっていない場合、保険会社から弁護士を紹介されるケースがあります。「保険会社が紹介する弁護士でないと特約を使用できないのか」と不安に思うかもしれませんが、紹介された弁護士に必ずしも依頼しなければいけないというわけではありません。ご自身が選んだ弁護士に弁護士費用特約を利用して依頼することができる特約なのです。

保険会社からの紹介があった場合はその弁護士に依頼することもできますが、交通事故の被害者側からの依頼に特化しているわけではないこと、交通事故の賠償問題は被害者の将来を左右することもあり、さらに、傷病面などかなり個人的な悩みを打ち明けることになることから、被害者ご自身やそのご家族が安心して任せられると思う弁護士に依頼することが大切です。

交通事故案件に強い弁護士を探す

適切な賠償を得るためには、交通事故案件に強い弁護士に依頼することも重要なポイントです。

例えば知的財産に強い弁護士、医療事故に強い弁護士など、その弁護士により得意分野は様々です。弁護士であればどんな案件に対しても得意とされていることが理想ではありますが、すべての分野において精通する、というのは紛争の種類の多さから考えても中々困難なことです。

また、交通事故問題は、法律の力だけで解決することはできません。事故状況に争いがある場合は、工学鑑定が必要なこともあります。怪我をしているのであれば、専門的な知見を有する医師の協力も不可欠です。

通院中の対応や症状固定時期の見極め、そして後遺障害申請など、被害者の傷病に精通している弁護士でなければ対応が難しいことがあります。高次機能障害等の専門的な知識を要する後遺障害申請が視野に入る事案では特にその傾向があります。弁護士以外の各機関とも連携がとれる、各分野についての知識を有した弁護士でなければ適切に事件を処理することができません。

保険会社に連絡し同意を得る

弁護士への依頼が決まり、弁護士特約の確認が取れましたら、保険会社に特約使用の同意を得ます。被害に遭った交通事故が実際に弁護士特約の補償範囲であることを確認しましょう。稀にではありますが弁護士特約を使用できない事故もあります。例えば被害者側にも飲酒運転等の重過失が認められるような場合です。

それ以外にも、保険会社によっては弁護士特約の利用に消極的に対応してくることが稀にあります。例えば小さな物損事故で被害金額が少額である場合や、被害者と加害者との間で争いが無い場合等です。そのような場合、保険会社によっては「弁護士に依頼しなくてもよいのではないか」と言ってくることがあります。保険会社からすれば、弁護士特約を使用されると費用がかかるため、そのように提案することがあります。しかし、そもそも弁護士特約は、少額であっても被害者が弁護士費用を気にすることが無く弁護士に依頼できるという役割の特約です。また、被害金額が相当か、提示された示談金額が被害に見合っているかは被害者の方個人が一人で判断できません。もし保険会社からそのような消極的な対応があったとしても鵜呑みにする必要はありません。

当事務所では交通事故のご相談を無料で対応しておりますので、ご自身が特約を使用できるか悩まれている場合は、弁護士へ弁護士特約のことも併せてご相談ください。

弁護士特約を使う旨を弁護士に伝える

保険会社への弁護士特約利用の確認を終えましたら、依頼する弁護士へ弁護士特約を使用する旨を伝えましょう。

弁護士に依頼する前に弁護士特約が利用できる確認が取れているとスムーズではありますが、取れていなくとも、改めてご確認後に弁護士へご連絡して依頼を進めることができます。

保険会社の確認がとれ、弁護士へ使用の旨をお伝えいただいた後は、保険会社と被害者間で何かやり取りをすることはありません。示談交渉の進捗報告も弁護士から保険会社の方に直接行うことになります。

前述のとおり、通院、勤務や日常生活を送りながら相手保険会社を対応することは大きな負担になります。弁護士特約利用のご連絡をいただければ、早急に弁護士が相手保険会社とのやり取りを弁護士が担うことができます。ご自身のご負担軽減のためにも、利用の旨をご一報ください。

まとめ

弁護士特約について、ご理解いただけたでしょうか。

弁護士へ依頼する際、費用面を気にするのは当然のことです。弁護士特約はそうした懸念を払拭するものです。また、弁護士費用と言うと、なんとなく高額なイメージがあるのではないでしょうか。前述の通り、弊所では交通事故であれば無料でご相談していただけます。そもそも依頼するかを悩んでいる段階でも、依頼自体が適切かどうかも含めご相談いただけます。

交通事故でお困りの際は、まずは弁護士へご相談ください。

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